《腰廻小具足の名称》
【問い】竹内流のお家芸は「こしのまわり」だと聞いたんですが、「こしのまわりこぐそく」ではないんですか。
【答え】普通は「こしのまわりこぐそく」と言っていますが、略した言い方が「こしのまわり」です。「こぐそく」と略すこともあります。
【問い】「こしのまわりこぐそく」を漢字で書いたらどうなるのですか。
【答え】江戸時代の目録には、「腰廻小具足」と「腰之廻小具足」の二通りが登場します。どちらが間違っているというものではありません。竹内流では庶民と武士が一緒に稽古をしていましたので、平生の稽古では「こしのまわりこぐそく」と口で言うだけでした。ただ、目録を書く段になると漢字を使いますので、師によって表記の仕方が異なったというだけのことです。ちなみに、現在の相伝家は「腰廻小具足」と表記しています。
【問い】ネット上には、「小具足腰廻」という業形が見られますが、「腰廻小具足」と同じなのですか。
【答え】竹内流には、「小具足腰廻」という業形は存在しません。昭和40年代に某団体がああだこうだと論議の末に創作した名称です。
もちろん、竹内家所蔵の史料には「腰廻小具足」と「腰之廻小具足」だけしか載っていません。また、代々師が授与した目録には、「腰廻小具足」または「腰之廻小具足」と明記されています。
【問い】でも、竹内流のホームページに載っていますよ。
【答え】ご覧になったホームページは「竹内流」のものではありません。「竹内流」の三文字があって紛らわしいですね。そのサイトには、確かに「小具足腰廻」という言葉が載っています。
この「小具足腰廻」という言葉は、倉敷市の「日新館」道場や岡山大学古武道部OBの方々を中心に使われ始めました。昭和40年(1965)頃から登場した造語です。
竹内流では「こしのまわりこぐそく」です。これが正式名称です。漢字で書いたら「腰廻小具足」または「腰之廻小具足」です。
《礼の基本》
~アタマの体操のこたえ~
礼には「はじめの礼」と「おわりの礼」がありますね。「初心者の稽古」のページでは、「はじめの礼」のしかただけを取り上げました。
そこで出題された「アタマの体操」のこたえは?
【問い】竹内流の「こぐそく」(座位)のはじめの礼は次の順序で行うのが基本です。では、「こぐそく」(小具足)、「はで」(羽手)、「ぼう」(棒)の「はじめの礼」に共通する所作は、 1~12のうちの何番でしょうか。6つ選んでください。
「こぐそく」(座位)の礼
【答え】「こぐそく」(座位)、「はで」(蹲踞・そんきょ)、「ぼう」(立位)の「はじめの礼」に共通する所作は 、次の6つです。
2)相手の目をじっと見つめます。
4)左手三本指を床につきます。
5)右手三本指を床につきます。
6)相手を注視しながら頭をたれて謝意等を以心伝心で伝えます。
7)頭をあげて相手の目をじっと見つめます。
12)相手の目をじっと見つめたまま、次の所作に移ります。
《心要歌》
【問い】竹内流の『心要歌』ってなんですか。
【答え】竹内流の兵法の心得を五・七・五・七・七の道歌に託したものです。道歌は五十九首です。竹内流の二代目がまとめ上げ、門人に説いていました。
それ以来、竹内家に代々伝えられています。門外不出の取り扱いです。
【問い】竹内家に伝わっている『心要歌』は、どうして門外不出だったのですか。
【答え】二代目竹内常陸介久勝伝来の「心要歌」は、竹内家の師が門人に兵法を説くときの「虎之巻」だったんです。すべてを渡してしまったら、師は裸同然ですよ。小出しにして流儀の心を説いていたのです。
【問い】高弟の中には『心要歌』を相渡された人がいたとか聞いたのですが。
【答え】それは確かです。
この三条件を満たした高弟です。もちろん、師弟一体となって竹内流を支えていた方々です。
えっ、起請神文をしたためた門人? そうです、誰にも教えたり、一点一画も書き写しをしないと誓った門人です。仁義をわきまえた人ばかりです。
新規:2017年10月02日
【問い】『心要歌』には、どのような道歌があるのですか。
【答え】そうですねえ、あなたが “義理の深い人” だと思って教えるとなると、こんな道歌ではいかがですか。
現代仮名遣いで表記します。
義理深き人と思えば兵法の
極意残さず教え伝えよ
あれれ、「義理」を説いています。義理深い人をめざさなければ極意は教えてもらえないんですね。
《起請神文》
【問い】「きしょうしんもん」(起請神文)にはどんなことが書かれるのですか。
【答え】「残らず教えてください」とお願いするのですから、師は条件をつけます。
また、こんな条件もあります。
門人はこのようなことを起請神文に書いて師へ差し出すのです。
要するに、師弟の約束ですね。
【問い】門人の中には、約束を破る人がいるのでは?
【答え】そんな人は一人もいません。
なぜって? 起請神文というのは、神に誓って約束をするんです。神罰、つまり破門を覚悟で約束を破る人なんていません。
あ、そうそう、だいじなことがあります。
竹内流の門人は、『心要歌』で「仁義礼智信」を心に刻み込んでいます。
門人は、仁義を心得て、礼智信に篤い人ばかりです。形の稽古をしているばかりではないのです。
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